BOOK011 『お皿監視人』 ハンス・ツィッパート
ミヒャエル・ゾーヴァの絵にひかれて手にしたのだけれど、思いのほかお話も楽しくて、何度も読み直している作品です。
お天気は人々が出された食事を残すか、きれいに食べ切るかで決まっているという設定の物語。
そんなお天気とご飯の因果関係を逆手に取ったビジネスをはじめた「お天気マフィア」と、マフィアのからくりを見抜いた子供たちとの戦いを描きます。
お天気マフィアと闘う子供たちがいわゆる絵本に出てくるような無垢なキャラではなく小生意気だったり、ブラックコメディの話の展開は、かなりわたし好みでした。
お皿に食べ物を残すか、残さないか、それを管理しコントロールすれば、農作物の出来はもちろんのこと、公害を引き起こすこともできてしまうわけですから、とても怖いお話。
たとえば日本なら、食べ放題のお店ばかりを流行らせて食べ残しを激動させることで、雪に弱い東京にずっと雪を降らせればいい。
首都機能はマヒして……、とういう可能性だってありえるわけです。
日本は四季があって、作物が育つには恵まれた環境にあるから鈍感になりがち(特に、雪や雨や、猛暑の被害が日本の中でも少ない東京で生まれ育った私は特に)だけれど、お天気は穏やかな生活のために必要不可欠なものなのです。
ああ、今日も雨か……、もういい加減寒いのはイヤ! と毎日、朝目が覚めて窓を開けるたびに文句を言ってばかりの生活をちょっと見直したくなります。