読書する女

本を読むこと以外、すべてのことを放棄してしまいたいエディター&ライター、Aliceによる本の話、日々のこと。

WORDS005 驕りゆく女と落ちていく男。

「かわいそうだたあ、惚れたってことよ」って映画の台詞にあったと思う。

『今日もやっぱり処女でした』 夏石鈴子著より抜粋

 

f:id:Alicebook:20161105182002j:plain

 

www.amazon.co.jp

 

私もかつて、「この人、かわいそうだなあ」と思いながら、ある男性とお付き合いをしていたことがありました。

「こんなかわいそうな人、私がいなくなったら、どうするんだろう」

なんて、驕った考え方をして……。

 

でも、不思議なことに「かわいそうだな」と思っていると、相手にそれがなんとなく伝わってしまうようで、私の気持ちに甘えるようになった男は、もっともっとかわいそうな人、になっていったのです。

そのうちに、私は「かわいそうな、あの人」を見るのがつらくなってしまって、自分からその人の手を放すことを選びました。

 

今でも、私はとても残酷なことをしたのではないか、とふと彼のことが頭をよぎることがあります。

「かわいそう」と感じてしまうことたまにあるのなら、まだいいでしょう。

でも「かわいそう」だけになってしまったら、人は人を愛せない。