WORD006 終わることでしか救われない恋がある。
終わることが最悪ではない恋もある。
『恋ばっかりもしてられない』佐藤真由美著より
別れたくない恋人との恋を終えなければいけなくなったとき、「なんて悲しいんだろう」と人は思い、人生のどん底に突き落とされたような気分になるものです。
でも、どんなない終わらせたくないと心が思っていても、別れることでしか救われない恋もあります。
私もそんな恋をしていたことがありました。
不倫でも、二股をかけられていたわけでもなかったけれど、私と彼の間にはとても大きな問題が存在していたのです。
私は彼のことが大好きだったし、おそらく彼も私が彼に抱いていた好意以上の気持ちで私を想っていてくれました。
ところが、大好きだからこそ二人の関係は窮屈になりすぎて、二人の世界以外の世界を、私たちは失いかけてるまでに……。
それで幸せかというとそんなことはまったくなく、地獄のような日々を送っていました。
本当に、大げさではなく、あれは地獄というよりほかない日々でした。
それなのに、どうしても“別れる”という選択肢を選ぶことができずにいた私たち。
そんななか、先に逃げ出したのは私でした。
大好きでどうしようもなかったけれど、二人でいることが二人にとって、そして二人のことを大切に思ってくれているまわりに人たちにとって、幸せをもたらさないという事実に耐えきれなくなってしまったのが、その理由。
逃げ出した私は、彼を失ったこと、しかも自ら終止符を打ったことに絶望しました。
でもその反面、これで自由になれるとほっとしている自分もいたのです。
終わることよりも、一緒にいることが、そしてじわりじわありと別れに向かっていく過程のほうが辛い恋があることを、その時の私は初めて知ったのでした。
そして私は、新しい私をスタートさせることに。
だから、今の私があるのです。
終わったからこそ私も彼も救われた。
だから、あれでよかったんです、私たちは、きっと。
今日のお買い上げ本。
街の本屋さんが次々となくなる一方で、新たな雑誌も生まれています。
できるだけ、自分の足で本屋さんに行って買い求めるのが心情ですが、生まれたばかりの雑誌は大手書店さんにしか配本されないことも……。
そんなときは、Amazonも有効利用します。
というわけで、本日Amazonから届いたお買い上げ本は1冊です。
⚫「RiCE」ライスプレス
連載モノのお料理ページを2つ、編集担当していることもあり、料理研究家さんを探したり、料理のテーマのアイディアを練ったりするために、Amazonでよくお料理本を検索します。
いい意味でも悪い意味でも優秀なAmazonさんは、この本を私に幾度となくおすすめしてくれるようになりました。
料理雑誌というより、食べることを通してカルチャーを伝えることを趣旨としているみたいと推察はできたけれど、私にとって「食すこと、食べたものでカラダもココロも思考も志向も作る」が、本や言葉、恋とか愛とかなもの、につづくテーマなので読んでみることに。
新しい「食との向き合い方」に出会えるといいな。
今日のお買い上げ本。
大手町界隈の本屋さんを2軒はしごして、買い求めたのはこの3冊。
詩人・最果タヒさんのはじめてのエッセイ集。
彼女が訳しているからという理由で本を買ってしまうことがあるくらい好きな翻訳家、岸本佐知子さんが帯文で
「友だちの少ないタヒさんと、友だちの少ない私は、きっと友だちになれる」
と書いていて、それなら同じように友だちの少ない私もお友だちになれるんじゃないかしら?
なんてことを考えながら、お買い上げ。
●『わたしたちの猫』文月悠光 ナナロク社
こちらも詩人さんの本、でもエッセイではなく詩集です。
先日、文月さんの処女エッセイ『洗礼ダイアリ―」を読んだときに感じた胸の疼きが忘れられなくて、詩集も読んでみることに。
恋にまつわる26篇が収められているということで、恋とか愛とかなもの蒐集家としても見逃せんでした。
●『まだまだ知らない夢の本屋ガイド』朝日出版社
ちょっと変わった趣向の本屋さんガイドだと周囲でちょっとした評判になっていたので、買うことにしました。
クラフト・エヴィング商會好きなあなたなら、きっと好きだよ。
本選びについては信頼している女たらしな男性の知り合いの薦めを信じてみることにしたのです。
吉と出るか、凶と出るか。
クラフト・エヴィング商會のこと。
とろりと濃密な恋愛小説が読みたい気分なのに、手元にあるなかにはしっくりとくる本が見つからず、積読の山をひっくり返していたところ、作家・吉田篤弘さんの著作がごそっと出てきました。
吉田篤弘さんは、個人名義で作家活動をなさる前、クラフト・エヴィング商會という名義で活動をしていらった時期があります。
私は、クラフト・エヴィング商會さんの作品の大ファン(それなのに、吉田さんの本は積読なのね! といわないでください)。
私が初めてクラフト・エヴィング商會の本を手にとったのは、大学を卒業してちょっとくらいのころで、そのタイトルは「らくだこぶ書房21世紀古書目録」(筑摩書房刊)だったと記憶しています。
ある日、「らくだこぶ書房」という古書店から、未来の古書目録が届いたという設定で、さまざまな架空の本を紹介していくその内容、丁寧な本作りに、私はすっかり魅せられました。
クラフト・エヴィング商會が、吉田篤弘さんと吉田浩美さんのユニットだということを知り、それ以来、新刊が出るたびに発売日当日に買い求めるほどに熱をあげています。
今回はそんなクラフト・エヴィング商會と私のちょっとしたご縁のお話です。
クラフト・エヴィング商會に熱を上げていた駆け出し編集者の私は、どうしてもお二人と一緒にお仕事をしたくて、とあるエンタテインメント系出版社にいる(つまり文芸の作品を出版することなんてできない)のに、
「こんなテーマのお話を書いていただけませんか」
と、お二人に宛てた長い長いお手紙を書きました。
エンタテインメントの出版社の編集者とお仕事をしてくれるはずがないと分かっていたのに、お送りしました。
その数日後のこと。
吉田篤弘さんから1本の電話がかかってきました。
そして「一度ぜひお会いしませんか?」とおっしゃってくださり、お話する機会をいただけることになったのです。
なにを思って本を作っているのか、私が図々しくもお手紙に書いたテーマについて、たくさんお話をして、その言葉一つ一つは、駆け出し編集者だった私の心の奥まで響きました。
結局、当時所属していた版元の出版物とはジャンルが違うと上司からの許可も貰えず、
本を作るまでに至らなかったのはとても残念でしたが、
「一緒にお仕事をしたい」
という思いを諦めるのはやめようと決めました。
そして、いつか絶対にクラフト・エヴィング商會のお二人とお仕事ができるように、
私は文芸の編集部がある会社に転職するぞ!と決心したのでした。
実は、私とクラフト・エヴィング商會のちょっとしたご縁は、ここで終わらなかったのです。
それはまた、次の機会につづく……。
役に立たない。
私がこのブログを立ち上げたのは、9月23日のこと。
1ヵ月半くらい経ちました。
この間、1日のアクセス数は100を越え、読者という方も149人に。
これだけ急激にアクセス数や読者が増えるという経験はないことなので、戸惑っているというのが正直なところです。
なぜなら、私のブログの内容は特段、役に立つものではないからです。
はてなブログのトップページを見ていると、閲覧者が多い人気ブログの一覧が出てきます。
みなさん、タイトルも工夫していらっしゃって、時事ネタやビジネス、人間関係、ブログで収入を得るなどさまざまな分野で役に立ちそうな記事が並んでいて、びっくりです。
長らく、本や雑誌の編集、執筆に携わってきたアナログ人間の私はSEO対策という言葉をはじめて知った始末。
それに比べて、私の記事といったら……。
これまで私の記事を読み、☆(この☆の仕組みもよくわかっていません)をつけてくださったり、Bookmark!ボタンと押してくださったり(これも仕組みがよくわかっていません)した方たちに、申し訳なくなります。
私のブログを読んだところで、知識は身につきません。
最新情報も得られないでしょう。
なにかができるようになるわけでもありません。
ものごころついた頃から本を読むのが好きで、それが昂じて本や雑誌を作る仕事に就き、文章を書くことを生業に選んだ女が、本や言葉について思うことを綴っているだけ。
本当に役に立たないブログなのです。
だから、どうか皆さん、過度な期待はせず、ゆるりゆるりとお付き合いくださいませ。
本や言葉とは相性がります。
気分によって、響く本、言葉も大きく違うでしょう。
今日書いた記事が、いつか未来のあなたの心を溶かすかもしれません。
役には立ちませんが、本が好きな人、ちょっと元気がない人、そして恋とか愛とかな感じに思いを巡らす日々を送っている人に少しでも言葉とともに思いが届きますようにと祈りを込めて書いています。
どうか末永く、よろしくお願い申し上げます。
BOOK009 『エプロンで過ごす毎日。』 高尾汀
ずっと自宅暮らしでお料理は母に任せきりだった私が、エプロンに目覚めたのは『暮しの手帖』で編集をすることになった頃です。
なぜなら『暮しの手帖』では、お料理ページの取材のときに編集さんもエプロンをつけて現場に臨むからです。
そして、料理ページは必ず会社にある台所でレシピどおりに作って、きちんとできあがるか試作をします。
そのときにも、もちろんエプロン。
たしか別冊には“エプロンさん”というキャラクター(実在の編集さんがモデル)も出てきたはずです。
そんな経緯もあって、お買い物中にエプロンが置いてあるお店を見つけると吸い寄せられていくようになりました。
そして気にいったものを見つけると買い集めるのが趣味のひとつになったのです。
著者の高尾汀さんはもともとお裁縫が好きで得意な主婦でした。
料理家のホルトハウス房子さんが、自分の教室に通ってきていた高尾さんの手づくり“三角エプロン”が気に入って、本書の出版をサポートしたといいます。
高尾さんのエプロンは、三角形に縫った布をふわっと腰のあたりで結ぶだけの楽ちんエプロン。
シンプルだからこそ、布選びや刺しゅう、ボタン飾りが思う存分楽しめそう。
本書には、ミシンがあったら使いきれないくらい作ってしまいそうなかわいいエプロンがたくさん出てきます。
そして、作り方だけではなくて、エプロンをつけて暮らすことの幸せを感じさせてくれるのも、うれしいところ。
お裁縫本の域を超えたライフスタイルブックだと、私は感じました。
私の記憶にある母は、ごはんの支度や掃除のために大好きな読書を中断せざるを得なくなり、ため息をつきながらエプロンをつけていたものでした。
エプロンをつけることが家事に引き戻されるような気がして、ちょっと気がめいってしまう、私の母ような人ほど読んでほしいと思います。
エプロンとともに暮らすことが、きっと今までよりちょっとだけ楽しくなるに違いありません。
今日のお買い上げ本。
に行ってきました。
住宅街を歩いていると突如あらわれるこのお店は、雑誌や絵本、洋書から単行本、岡崎京子さんのコミックまで、女性のための古本を専門に扱っています。
残念なことに11月いっぱいで閉店することが決まっているとのこと。
こういう特徴のある、いい古書店が消えてしまうのは淋しい限りです。
というわけで、本日のお買い上げ本8冊はプリシラブックスさんで買い求めました。
●「クウネル」
29号…どんな住まい? 特集
35号…しまつのよい人。特集
36号…お初のこと。特集
クウネルがリニューアルして、まったく別の雑誌になってしまって久しいですが、バックナンバーを見かけるとちょこちょこ、買い集めています。
生きること、暮らすこと、上質なものを見極めること、上質というのはお金をかけることではないということ、作る人に対する敬意……。
多くのものを教えてくれた、大切な大切な雑誌のひとつがこのクウネルでした。
●『眠り人形』向田邦子
●『きんぎょの夢』向田邦子
ある雑誌で、向田邦子さんのファッションを取材したことがあります。
鹿児島文学館が所蔵している向田さんが実際に着ていらっしゃったお洋服や帽子などを見せていただいたあの日のことを、私は一生忘れないと思います。
私の書く文章は「ふわふわ」していると言われることが多いです。
でも私の理想は向田さんが書くような、キリリとした、それでいて艶っぽい、力強いのに繊細な文章です。
向田さんの言葉にたくさん触れて、私の文体をもっと洗練させていきたいと常日頃から思っています。
竹久夢二さんや中原淳一さん、「それいゆ」あたりがお好きな方なら絶対知っている、そしてその作品を読んだことがあるであろう作家、吉屋信子さん。
『花物語』などは特に有名で、ここ数年、彼女の作品が復刻されているので、名前だけは知っているという方もいるかもしれません。
そんな吉屋信子さんの評伝を、あの田辺聖子さんが書いた本ということで、長らく気にはなっていたものの、手にする機会を逃していたのが本書。
「あ、この本、読もうと思っていたんだった!」
そんな出会いがあるからこそ、ネットではなく自らの足で本屋さんや古書店に出かけるのをやめられないのです。
●『愛人百科』 ドーン・B・ソーヴァ
124人の愛人という立場で歴史に影響を与えた女性たちが、アルファベット順に解説されています。
愛人願望があるわけではないのですが、❝恋とか愛とかなもの蒐集家❞と名乗っている私には見逃せない一冊です。
愛人として生きると決めた女性たちの人生に少しでも触れられたらと期待しています。
閉店までにもう一度、と言わず、二度、三度、お邪魔したいです、プリシラブックス。