2017年6月16日のお買い上げ本。
金曜日、ランチの帰りにふらりと立ち寄った本屋さん。
私のお買い上げ本の大半は
「さーて、本でも買いに行こうか!」
と気合を入れて出かけたときではなく、"ふらり"と立ち寄った際に出会ってしまったものがほとんどです。
あの本を買わなくちゃという、確固たる目的がない分、
「あら、こんな本が出てるのね」
「へー、こっちもおもしろそう」
とあっという間に、腕の中は本でいっぱいになっていきます。
そして厄介なことに、本という代物は、一度、抱え込んでしまったら
「ちょっと多いわね、何冊か諦めましょう」
なんてことができないのです。
というわけで、6月16日(金)のお買い上げ本です。
●『アルカイダから古文書を守った図書館員』 ジョシュア・ハマー 紀伊國屋書店
某雑誌編集部の書評ページの担当者さんから
「きっと、お好きだと思います」
と教えてもらったもの。
戦争やテロは、自分たちにとって都合が悪い教義や歴史の書かれた本、美術品を破壊しようとする集団と守ろうとする人たちとの闘いという側面もあると思っています。
教義や歴史を破壊するためだけではなく、営利目的の場合もあるでしょう。
ナチスも多くの美術品を略奪したことで知られていますし。
日本人にはあまり馴染みがありませんが、マリ共和国のトンブクトゥは「古の学術都市」。
アルカイダが麻里を制圧したとき……。
帯文を読むだけでドキドキしてしまいます。
●『おはなしして子ちゃん」藤野香織 講談社文庫
昔、文芸の編集者をしていたころは、さまざまな作家の本を手当たり次第読み、
「この作家さんから原稿をもらいたい」
と思える作品を探していたものでした。
その後、週刊誌記者、暮しの手帖編集部、フリーランスの編集&ライターになってからは、手当たり次第ではなくなったこともあり、読む作家さんも、作品もだいぶ狭くなってしまい……。
藤野香織さんは、気になりながら出を出さず仕舞いで、これまでやり過ごしてしまった作家さんの一人です。
文庫になっていたのをきっかけに。
共謀罪とか道徳の教科書問題について、話す機会があったときに、
「あなたは右と左、どっち?」
なんて聞かれたことがありました。
その数日後、友人から
「この間、右と左どっち? と聞かれちゃって」
と相談されたのです。
右と左。
かつて、その単語がとても大きく取り沙汰され、人々の関心事だった時代もありました。
でも平和な時代が続き、右と左を意識することもなく
「そもそも、右って? 左って?」
という思っている人も増えていたのではないでしょうか?
でも、安倍内閣を取り巻く一連の問題から、これまで右と左という概念から遠ざかっていた人も、無関係ではいられなくなったように思います。
だから、いまこそ、右翼と左翼について考えるきっかけになる本が必要になってきているのかもしれません。
右か左かと問われて困ってしまったという友人に贈るために買った1冊です。
まったく関係のない話ですが、ご要望に応じて本を選ぶ生業もしています。
ご興味がある方はお知らせください。