読書する女

本を読むこと以外、すべてのことを放棄してしまいたいエディター&ライター、Aliceによる本の話、日々のこと。

LITTLE PRESS002 『モジ便り vol1 特集・モジと仕事』

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私にとって文字は、自分のみならず取材でお会いした誰かの思いや考えを伝えるための大事な大事なツールです。

文字を「書く」よりも「打つ」ことの方が圧倒的に増えてきた昨今。

それでも、手紙を書いたり、お仕事でゲラに校正の赤字を書き込むときは手書きになります。

私は手紙好きで、書くときにはどんなペンを選び、便箋、封筒と組み合わせるのか考えるのが楽しみのひとつ。

手紙という佇まい、つまり、そこに書かれた私のくせ字がどのような紙にどのような色の、太さのペンで書かれたのか、切手はなんの柄なのか、郵便受けから取り出したときの肌触りや重さはどんな感じか、そういうものすべてが私の思いを伝えてくれると思っているからです。

 

そして、仕事でゲラに赤字を入れるときは、印刷所の方に分かりやすいように、読み間違いがないように、細心の注意を払って書くようにしています。

 

手紙で書く文字も、ゲラに入れる赤字も、それを受け取った相手の人により伝えわるようにいう思いが込められているという意味で共通点があることに、このリトルプレスを読んで改めて気づかされました。

 

『モジ便り』の製作者はかつて「書くこと つくること」というHPを立ち上げていた猿田彩さんという女性。

1号では文字を「書く」「売る」「デザインする」「教える」の4つのカテゴリーに分け、それぞれのカテゴリーでお仕事をしている方に、文字に対する思いをインタビューしています。

 

パソコンや携帯を使う頻度が増えたとは言っても、やっぱり基本は手書き。

どんな文字を書くか、と、どんな思いを伝えたいかは密接な関わりがあるはずです。

手帳やノートを見返してみると、なんと殴り書きの文字が多いことか……。

これでは伝わるものも伝わらなくなってしまうのでは、と少しばかり不安に襲われます。

上手い下手とは違う、書いた人の心意気みたいなものが文字には現れるのではないでしょうか。

だから、もっと「伝える」を意識して、手紙やゲラ以外の文字も手で書いてみたいと思います。