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読書する女

本を読むこと以外、すべてのことを放棄してしまいたいエディター&ライター、Aliceによる本の話、日々のこと。

BOOK002『ON READING』

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『ON READING』は、“読む人”の姿ばかりを集めた、アンドレ・ケルテスの写真集。
“読む人”の姿にとても思い入れがある私のお気に入りの1冊です。

本を読む人の姿に魅せられるようになったのは、大学を卒業して、編集者になりたいと思いながら、どうにもこうにもうまく回っていなかった頃のこと。

軽い肺炎で入院した祖母の
「たいしたことないから、あなたは、お仕事がんばりなさい」
という言葉に甘え、お見舞いに行っていなかった私は、
ある週末、初めて祖母のいる病院を訪れました。
病室に入ると、祖母は眠っていて、私はベッドの横に座り、
本を読みながら、祖母が目を覚ますのを待つことにしました。
ページをめくる微かな音で祖母を起こさないよう、慎重に……。

本に夢中になっていると
「あなたは、本を読む姿が美しいわね」
と祖母の声が聞こえました。
私はなんだか照れくさくて
「なに言ってるの、おばあちゃん」
とその場をごまかして、祖母に促されるまま、直後に病院を後にしたのです。

祖母が亡くなったと、病院から連絡があったのは、その翌朝のことでした。

本だけではなく、なにかを“読む人”の姿、佇まいは、とても美しい……。
車内や、公園、ふらりと立ち寄った喫茶店などで、なにかを読む人の姿をみかけると、
思わず見つめてしまうようになったのは、祖母の言葉がきっかけです。

いまでも、私は本を開くとき、祖母の言葉を思い出します。
そして『ON READING』を手にとるたびに、
祖母の言葉を裏切らないよう、美しい佇まいで本を読むことができているか、
自問自答するのです。
そして、気づかされます。意識なんてしなくても、
読む人は、美しい存在である、ということに。

どんな場所であっても、どんな服装を、姿勢をしていても、読む人の姿は美しいと、
『ON READING』はいつでも私に教えてくれるのです。