読書する女

本を読むこと以外、すべてのことを放棄してしまいたいエディター&ライター、Aliceによる本の話、日々のこと。

本棚有名人に、なれるかもしれない。

1ヵ月ほど前のこと、こんなニュースを見つけました。

internet.watch.impress.co.jp

要約すると……

「じぶん書店」で会員登録をして、講談社が展開する約3万2000点の電子書籍からタイトルを選択。

そのタイトルの推薦コメントを入力するだけで、自分がセレクトした本たちを集めた電子書店を無料で開設できるというサービスです。

自分の書店で電子書籍を見て(経由して)誰かがその作品を買った場合には、その価格の10%がアフィリエイトとしてコインで提供されます。

 

というものです。

 

ブクログ読書メーターなど、読み終わった本、ほしい本、積読本を記録するためのサイトはありましたが、「じぶん書店」とこれらの決定的な違いは“記録目的”ではなく、自分の読書体験を編集して第三者にプレゼンをすることを可能にしたという点だと思います。

 

最近では個性的な本屋さんがどんどん生まれ、店主が綴る本屋さんの本というジャンルも確立しつつあります。

でも、これはリアル店舗を営んでいる人のお話です。

この自分書店を上手に使えば、実店舗がなくても、本好きの目をひく自分だけのお店が作れてしまう。

そして、そのセレクト次第では、本屋さんが本業ではないけれど“本棚有名人”という人が生まれるかもしれないわけです。

 

私を読書好きに育ててくれたのは、両親と住んでいた街の商店街にあった小さな本屋さんのおばちゃまでした。

だから、どんな街にも本屋さんが存在することの大切さを身をもって知っています。

書店の減少が叫ばれて久しい昨今、私ができるだけネット書店ではなく、本屋さんに足を運んで(もしくは、本屋さんが運営しているWEBショップで)本を買い求めているのには、そんな幼い頃の経験が大きく影響しているのです。

 

でも、本との出会いは実店舗の本屋さん以外であってもいいと思います。

1年間で刊行される新刊書籍の出版点数が8万冊以上。

本屋さんですべての新刊書店と出会うことは、不可能です。

だからこそ、個々の読書体験を持ちよって、新たな本と出合う機会を作ってくれる「じぶん書店」のようなサービスは、どんどん広がってほしいと思います。

 

できるだけ多くの人に、自分が手がけた本を届けたい。

そう思うのが、編集者という生き物です。

私の手がけた本や執筆した記事も、こういったサービスを通じてたくさんの人に届き、その心を少しでも揺さぶりますように……。