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読書する女

本を読むこと以外、すべてのことを放棄してしまいたいエディター&ライター、Aliceによる本の話、日々のこと。

BOOK016 『ほめことばの事典』 榛谷泰明編

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総ページ数、524ページ。
じっくりと読み進めるためのものじゃなく、気が向いたらパラパラとページをめくって、気になるところを読んでみる事典です。
その内容はタイトル通り、古今東西のさまざまな文学作品から“誰かをほめている”フレーズを集めたもの。

40歳に近づくお年頃になると、なかなか人は褒めてくれなくなるし、誰かを褒めるなんてちょっと照れくさくなってくるものです。
最後に誰かを素直に、素直な言葉で褒めたのはいつだったかしら? と思いをめぐらしてみても、思い出すことができません。
おそらく、かなり昔のことなのでしょう。
私だけじゃなく、おそらく日本人は、人を褒めるという行為があまり得意ではない生き物なのではないでしょうか。
それを証明するかのように、本書に出てくる数々の“ほめことば”たちも、ほめるという行為に苦心しているのか、たくさんの言葉を積み上げて、相手のささやかな美点について表現しようと努力する様が伝わってくるものばかり。

本来なら
「すごいわね」
「かわいい」
「きれい
「優しいのね」
「とっても魅力的!」
「あなたのそういうところ尊敬するわ」
なんていう、簡潔でシンプルな言葉でも人を褒めることができるのに、そこはさすが、古今東西の文学作品からの引用だけあって、なんとも文学的な“ほめことば”が登場します。

これだけほめことばがたくさん掲載されているのだから、「自分に自信を失って、だれかにほめてほしい」時にはうってつけ!  読んだだけで、自分が褒められた気分を味わえると思う方もいるかもしれません。

ところが、ほめられたい時にはこの本を開いてみようという気にはならないから
とっても不思議。
どちらかというと、誰かの言葉や行動に尊敬したり、感動したりしたのだけれど、うまくそれを伝えられなかったことに後悔しながら、今度こそ素直に“ほめことば”を届けよう、そう誓うために、私はページを開くことのほうが多いように思います。

心を動かされた瞬間を言葉に置き換える習慣を大切に……。