WORD006 終わることでしか救われない恋がある。
終わることが最悪ではない恋もある。
『恋ばっかりもしてられない』佐藤真由美著より
別れたくない恋人との恋を終えなければいけなくなったとき、「なんて悲しいんだろう」と人は思い、人生のどん底に突き落とされたような気分になるものです。
でも、どんなない終わらせたくないと心が思っていても、別れることでしか救われない恋もあります。
私もそんな恋をしていたことがありました。
不倫でも、二股をかけられていたわけでもなかったけれど、私と彼の間にはとても大きな問題が存在していたのです。
私は彼のことが大好きだったし、おそらく彼も私が彼に抱いていた好意以上の気持ちで私を想っていてくれました。
ところが、大好きだからこそ二人の関係は窮屈になりすぎて、二人の世界以外の世界を、私たちは失いかけてるまでに……。
それで幸せかというとそんなことはまったくなく、地獄のような日々を送っていました。
本当に、大げさではなく、あれは地獄というよりほかない日々でした。
それなのに、どうしても“別れる”という選択肢を選ぶことができずにいた私たち。
そんななか、先に逃げ出したのは私でした。
大好きでどうしようもなかったけれど、二人でいることが二人にとって、そして二人のことを大切に思ってくれているまわりに人たちにとって、幸せをもたらさないという事実に耐えきれなくなってしまったのが、その理由。
逃げ出した私は、彼を失ったこと、しかも自ら終止符を打ったことに絶望しました。
でもその反面、これで自由になれるとほっとしている自分もいたのです。
終わることよりも、一緒にいることが、そしてじわりじわありと別れに向かっていく過程のほうが辛い恋があることを、その時の私は初めて知ったのでした。
そして私は、新しい私をスタートさせることに。
だから、今の私があるのです。
終わったからこそ私も彼も救われた。
だから、あれでよかったんです、私たちは、きっと。