読書する女

本を読むこと以外、すべてのことを放棄してしまいたいエディター&ライター、Aliceによる本の話、日々のこと。

BOOKS

BOOK021『田村はまだか』  朝倉かすみ

Amazon CAPTCHA 無条件で、未来がキラキラ輝いたものになるだろうと信じられた時期。 まわりで起きる様々な出来事が理不尽に思えて、その理不尽さと闘えていた時期。 いまの自分を、無条件で“幸せ”だと思えた時期。 人生にはさまざまな「時期」があり、、リ…

BOOK018 『建てて、いい?』 中島たいこ

Amazon CAPTCHA 居場所、って難しい。 実家では、お仕事の関係で共に暮らしていた母や父、弟と生活のサイクルが6時間くらいずれていて、顔を合わせることもあまりなく、玄関の出入りや洗面台で立てる音などにかなり気を使う日々を送っていた時期がありました…

BOOK017 『さようなら窓』 東 直子

Amazon CAPTCHA 男女の間で、“気づいてしまうこと”は時に命取りになります。 それは決して、浮気とか、嘘とかそういった類のものだけではありません。 “好き”だと思い込んでいただけで、実は“好き”じゃない、と気づいてしまうなんて、致命的な“気づき”も存在…

BOOK016 『ほめことばの事典』 榛谷泰明編

www.amazon.co.jp 総ページ数、524ページ。 じっくりと読み進めるためのものじゃなく、気が向いたらパラパラとページをめくって、気になるところを読んでみる事典です。 その内容はタイトル通り、古今東西のさまざまな文学作品から“誰かをほめている”フレー…

BOOK014 『京都・東京 甘い架け橋』 甲斐みのり・奥野美穂子

Amazon CAPTCHA 文筆家でLouleの主宰者でもある甲斐みのりさんと、京都にある喫茶店・六曜社のウェイトレス、奥野美穂子さんの二人が季節ごとに贈りあったお菓子と手のをやりとりをまとめた1冊。 メールにブログにTwitterち次々に登場するコミュニケーション…

BOOK013 『 ちょっと具合のわるいときの食事』 日野原重明 東畑朝子

Amazon CAPTCHA つい数時間前に、いまはインプットの時期だからブログの更新はしませんと書いたばかりですが、舌の根も乾かぬうちに本を1冊ご紹介です。 あの、日野原重明先生監修の『 ちょっと具合のわるいときの食事』です。 世間のお休みと関係なく、今日…

BOOK012 『布じまん』 大谷マキ

Amazon CAPTCHA 会社に置かれた「ご自由にお持ちください」箱に入れられていたのが目に入って、持って帰ってきた1冊です。 この「布じまん」はお裁縫の本でも、刺繍の本でもありません。 暮らしの中の1シーンで使われている布、布のある光景が切り取られた…

BOOK011 『お皿監視人』 ハンス・ツィッパート

Amazon CAPTCHA ミヒャエル・ゾーヴァの絵にひかれて手にしたのだけれど、思いのほかお話も楽しくて、何度も読み直している作品です。 お天気は人々が出された食事を残すか、きれいに食べ切るかで決まっているという設定の物語。 そんなお天気とご飯の因果関…

BOOK010 『雪だるまの雪子ちゃん』 江國香織

Amazon CAPTCHA 54年ぶりに11月の東京に雪が降る、というニュースを聞き、読み返しました。 人が積もった雪で作ったた“人工的”な雪だるまではなく、“野生”の雪だるまの女の子、雪子ちゃんを主人公にしたお話です。 冒頭に出てくるこの野生の雪だるまという言…

BOOK009 『エプロンで過ごす毎日。』 高尾汀

Amazon CAPTCHA ずっと自宅暮らしでお料理は母に任せきりだった私が、エプロンに目覚めたのは『暮しの手帖』で編集をすることになった頃です。 なぜなら『暮しの手帖』では、お料理ページの取材のときに編集さんもエプロンをつけて現場に臨むからです。 そし…

BOOK008 『十階 短歌日記2007』 東直子

Amazon CAPTCHA この本を手にしたのは、東日本大震災の直後のことでした。 地震の後、日常を取り戻せず、本を読むことに意識的になることができずにいた数日の間の私を救った本が、2冊ありました。 その2冊のうちの1冊が、この『十階 短歌日記2007』です。…

BOOK007  『聞き出す力』 吉田豪

www.amazon.co.jp 著者の吉田豪さんと言えば、アイドルやタレント、格闘家などにインタビューをしている「プロインタビュアー」。その取材相手の数は1000人以上と言われています。本書は、時に「本人よりも本人に詳しい」といわれる綿密な下調べをもとに構成…

BOOK006 『かけら』 青山七恵

www.amazon.co.jp 川端康成賞を受賞した、表題作を含む3編の短編集が収められた1冊。 どの作品を読んでも心がざわりとさせられ、秀逸です。 父親と娘の感情のやりとりを描いた表題作は、同じ年頃の娘だった時代を思い出しながら、自分自身と父との関係に複雑…

BOOK005 『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』 柴崎友香

www.amazon.co.jp 実は、大学を卒業して間もないころにハードカバーで読んでいるこの本。 本屋さんで見かけて、なんとなく懐かしい気分にかられたので、再び手に取ることにしました。 この本に収録されているのは、2つの物語。 1つめは本のタイトルになっ…

BOOK004 『初恋Book』 初恋委員会編

www.amazon.co.jp 初恋、と言えば、島崎藤村の“まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき~”が思い浮かぶ私人も多い(少なくとも、私はそう)と思いますが、本書はまったく島崎藤村とは関係ありません。 2009年の4月に行われた『初恋展』という展示をも…

BOOK003 『夕闇の川のざくろ』 江國香織

Amazon CAPTCHA 絵本が子供のためだけのものではないと気付いたのは、いつのことだったでしょう。 子供らしさを失ってしまった自分自身や、子供だけが持つ特有の残酷さを突きつけられる絵本に出会うと、ささやかな恐怖すら抱いてしまうようになったのは、い…

BOOK002『ON READING』

Amazon CAPTCHA 『ON READING』は、“読む人”の姿ばかりを集めた、アンドレ・ケルテスの写真集。“読む人”の姿にとても思い入れがある私のお気に入りの1冊です。 本を読む人の姿に魅せられるようになったのは、大学を卒業して、編集者になりたいと思いながら、…

BOOK001 『とりつくしま』 東直子

歌人である東直子さんの2冊目の小説、『とりつくしま』が文庫化されたとのことで、再読しました。 www.amazon.co.jp デビュー作の『長崎くんの指』も独特な世界観がみずみずしい作品でしたが、2作目ははまた一段と魅力的な内容に仕上がっています。 書かれ…